以前に羽毛の品質(あたたかさ・弾力性)を数値で示すダウンパワーについて解説いたしました。
では、みなさんは羽毛の品質を左右する要因が何かご存知ですか?
こちらで、その要因について解説していきたい思います。
羽毛の品質を左右する要因
同じ日本人でも、生活環境や年齢によってその髪質が異ってくるように、同じ種の水鳥、例えば同じホワイトグースだとしても、環境によって羽毛の品質は異なってきます。
仕立て技術ももちろん大切な要素ですが、羽毛布団の品質を大きく左右するのは、やはり中綿となる羽毛そのものといっても過言はないでしょう。ですので、羽毛の質について理解しなくては、羽毛布団選びは始まりません。
では、その羽毛の品質を左右する要因は何かというと、
①気候
②飼育期間
③洗浄(殺菌、乾燥)
が、挙げられます。
それぞれについてご説明していきます。
①気候
一般的に、緯度が高く寒冷地で育った水鳥であるほど、その羽毛の品質は高くなると言われています。それは、寒い地域であればあるほど、水鳥は寒い外気から自らの体温を保つ為に、保温力の高い羽毛を発育させるためです。
また、これに加え一日のうち寒暖の差が大きい地域の方が良いともされています。
ヨーロッパの特に東欧の国々にて、その寒冷な気候を生かし、伝統的に品質の良い羽毛を生産している国々がいくつかあります。
羽毛の産地につきましては、羽毛の産地ってどこがいいの?にて解説をしておりますので、よろしければご覧下さい。
②飼育期間
良質なダウンを採取するためには、恵まれた自然環境で長期間飼育されしっかりと成長させることが望ましいです。
それは、マザーグースから採れる羽毛が他の羽毛よりも品質が良く高値で取引されていることからもあきらかです。
マザーグースとは
通常はグース(マザーグースをのぞく)とダックは食肉用として育てられ、その副産物としての羽毛を採取しています。
ですので、そのようなタイミングで採取される羽毛の大きさは十分とは言えない場合もあり、そのために、本来の温かさを発揮できないことがあるのです。
一方で、マザーグースは、食肉とはならず繁殖用として農場に残されるグース達のことで、極寒の冬を耐え抜いた成熟された羽根からは最高品質のとっても温かい羽毛が採取されるのです。
特に、飼育期間が3年にもなるとマザーグースは、立派に成長し格別の羽毛をもたらしてくれます。
私としてもやはりダウンは、マザーグースダウンをおすすめ致しますが、品質と希少価値が高いために、他の羽毛に比べて価格がどうしても高くなります。
ですので、マザーグースダウンをお選びされることが難しい場合でも、飼育期間については確認できるようであればしっかりとチェックするようにしましょう。
一般的には、十分な羽毛を育てるためには70日以上(できえれば冬期に飼育されることが望ましい)の飼育期間は必要とされています。
③洗浄(殺菌、乾燥)
羽毛が採取された後の行程も羽毛の品質に大きな影響をもたらします。
水鳥から採取された羽毛は、当然ながらそのまますぐに羽毛布団の中綿として使用することはできませんので、しっかりとした洗浄が必要となります。
そしてダウンの能力を最大限に活かせるかどうかは、この羽毛の洗浄にかかっているといっても過言ではありません。
せっかく立派に育った水鳥から採れた羽毛も洗浄が悪いとしっかりとその特性である暖かさを発揮出来ないばかりでなく、臭いの原因にもなりかねません。
洗浄の工程
洗浄の具体的な行程としては、
①除塵:不純物を取り除く
②洗浄:洗浄機で汚れを落とす
③脱水:脱水機で水分を取る
④乾燥:乾燥機で充分乾かす
が、あります。
日本における羽毛洗浄
通常、日本の輸入される羽毛は、羽毛が採れた現地国にて洗浄が行われている場合がほとんどです。
しかし、日本の羽毛布団メーカーは日本における羽毛の洗浄の基準値レベルをクリアする為に、輸入された羽毛を再度洗浄しています。
そのために日本製の羽毛布団は世界でトップレベルに高い品質を保っているのです。
まとめ
羽毛の品質を左右する要因は大きく分けて下記の3つとなります。
①気候
②飼育期間
③洗浄(殺菌、乾燥)
一般消費者として、羽毛布団購入の際にこれらをすべて確認できる分けではないかもしれませんが、知らずに羽毛布団を選ぶより、知って選ぶ方が間違いなく、失敗する可能性が低くなると思います。
よろしければ参考にしてみてください。